【実体験】医療機関を狙う「無料求人広告」トラブル|当社とクライアントが別会社から同じ手口の被害に

株式会社ドクターエージェントでは、医療機関の開業・運営支援などに携わっています。
今回この記事を書くことにしたのは、
当社自身が「無料求人広告」をめぐるトラブルを実際に経験したからです。
さらにその後、当社とは別のクライアント企業でも、別会社から非常によく似た方法による求人広告トラブルが発生しました。
相手は同じ会社ではありません。
それにもかかわらず、
「ハローワークの求人を見た」
「無料で掲載できる」
というところから始まり、その後料金請求へ進む流れには共通点がありました。
当社自身が「無料求人広告」のトラブルを経験
当社がハローワーク等で求人募集を行っていたところ、求人広告会社から営業を受けました。
営業では、無料で求人を掲載できるという趣旨の説明がありました。
ところがその後、当初想定していなかった広告料金の請求へ発展しました。
「無料で求人掲載できる」と認識していたものが、
いつの間にか有料掲載として扱われる。
当社としても非常に違和感を覚えるものでした。
さらにクライアントも、別会社からほぼ同様のトラブル
驚いたのはその後です。
当社のクライアント企業から、
「ハローワークの求人を見たという求人会社から無料掲載の案内が来た」
「その後料金を請求された」
という相談がありました。
内容を確認すると、
当社が経験したものと非常によく似ていました。
しかし、会社名は違います。
つまり、
「この会社だけ気を付ければいい」
という話ではありませんでした。
別会社なのに営業パターンが似ていた
当社とクライアントのケースでは、
相手となった法人は別でした。
それにもかかわらず、
・ハローワーク等で求人中の企業へ連絡する・無料掲載を案内する・申込書等への記入を求める・一定期間経過後に料金の請求へ進む
など、似た特徴が見られました。
もちろん、これだけで複数の法人が同一グループであるとか、互いに関係していると断定することはできません。
しかし、会社名が違っても、同じような求人広告営業が存在することには注意が必要です。
設立から日が浅い法人だった
さらに当社が法人情報を確認した範囲では、今回関係した会社について、
法人登記からおおむね1年程度という、設立から比較的日の浅い法人が含まれていました。
ここについては誤解してはいけません。
設立から1年以内だから危険な会社だ、という意味ではありません。
新設法人の大部分は当然、正当に事業を行っています。
しかし、突然営業してきた会社と契約する場合、
その会社がいつ設立されたのかを確認することは有効です。
求人広告会社から営業されたら法人情報を調べる
当社では、少なくとも以下を調べることをおすすめしています。
会社名法人番号法人設立時期本店所在地代表者会社ホームページ事業内容固定電話の有無過去の事業実績
法人の基本情報は、国税庁の法人番号公表サイトなどでも確認できます。
重要なのは、一つの要素だけで「怪しい会社」と判断しないことです。
「設立直後だから危険」
「レンタルオフィスだから危険」
と単純に判断するのではなく、
複数の情報を総合して契約するかどうかを判断してください。
なぜ医療機関は特に注意が必要なのか
病院やクリニックでは、
医師看護師医療事務受付看護助手理学療法士作業療法士放射線技師臨床検査技師
など、さまざまな職種を継続して採用しています。
そのためハローワークなどに求人情報を公開する機会も多く、求人広告営業の対象になりやすいと考えられます。
また診療中は院長や経営者が電話に出られないため、
受付や医療事務スタッフが営業電話を受ける
ことも少なくありません。
ここに医療機関特有のリスクがあります。
「無料ならいいと思ってFAXを返しました」が一番危険
受付スタッフに、
「無料です」
「FAXを返すだけです」
と言われれば、
「費用がかからないなら問題ないだろう」
と考えてしまうことがあります。
しかしFAX用紙が、
求人広告の正式な申込書
になっていることがあります。
そのため医療機関では、
「無料なら申し込んでいい」
ではなく、
求人広告契約は決裁者以外禁止
というルールにしておく方が安全です。
厚生労働省も同様のトラブルを注意喚起
これは当社だけの経験ではありません。
ハローワークでは、
「無料で求人広告を掲載しませんか?」
との電話勧誘を受けて契約したところ、無料掲載期間終了後に自動的に有料掲載となり、多額の広告料金を請求される事案が発生していると正式に注意喚起しています。
神奈川県内のハローワークでも、同様の求人掲載トラブルについて注意喚起されています。
つまり、
横浜・神奈川の医療機関にとっても無関係な問題ではありません。
医療機関で導入したい求人広告営業への対応ルール
当社では、このようなトラブルを防ぐため、医療機関には次のようなルールをおすすめします。
「求人広告会社からの電話では一切契約しない」
これを基本ルールにします。
スタッフには、
「求人広告の件は本部・事務長が管理しております。電話での申込みはできません。必要であれば資料をメールでお送りください」
と回答してもらいます。
さらに、
FAX・電子署名・Webフォームへの入力についても決裁者の許可なく行わない
ようにします。
ハローワークの求人票にも営業お断りを記載できる
ハローワークでは求人票に、
「ハローワーク以外の事業者からの営業はお断り」
「求人掲載の営業はお断り」
などの文言を記載できると案内しています。
また担当者の連絡先を非公開にする対応についても相談できます。
求人広告会社から営業電話が頻繁にかかってくる医療機関は、管轄のハローワークに相談してみるとよいでしょう。
すでに請求書が来た医療機関が行うこと
無料だと思って申し込んだ求人広告から請求書が届いた場合には、まず以下を保存してください。
・申込書・契約書・利用規約・FAX・メール・請求書・電話番号・担当者名・電話録音・着信履歴・求人広告掲載ページ・相手法人の登記情報
また、
「電話で何と言われたのか」
について、対応したスタッフからできるだけ早く聞き取りを行ってください。
「無料と説明された」という記録を残す
求人広告会社とのトラブルでは、
電話の内容が重要になる可能性があります。
今後同様の営業電話が来た場合には、
「無料ということですが、有料になることは一切ありませんか?」
「自動更新はありませんか?」
「費用が発生する条件をメールで送ってください」
と確認するのも一つの方法です。
そして、
口頭説明ではなく書面で確認する。
これを徹底することをおすすめします。
請求されたからといって、慌てて振り込まない
身に覚えのない、あるいは認識と異なる請求を受けた場合には、
まず契約内容を確認してください。
特に、
「有料掲載について説明を受けていたのか」
「いつから料金が発生する契約なのか」
「自動更新について明確な説明があったのか」
「誰が契約したのか」
を確認します。
ハローワークでも、高額請求を受け対応に困った場合には、弁護士等の専門家に相談するよう案内しています。
別会社から同じような営業が来る可能性を考える
今回、当社が強く伝えたいのはここです。
1社の名前を覚えるだけでは十分な対策にならない可能性があります。
当社自身が経験した相手と、
当社クライアントが経験した相手は、別法人でした。
それでも営業方法には似た点がありました。
だからこそ、会社名ではなく、「営業のパターン」で判断すること
が大切です。
この4つが揃ったら一度確認
当社では、次のような営業について慎重な確認をおすすめします。
「ハローワークの求人を見ました」
「無料で掲載できます」
「FAXまたは申込書を返してください」
「期間限定です」
これらが重なった場合には、
その場で申し込まず、まず契約条件を確認してください。
横浜・神奈川のクリニック経営者の皆様へ
株式会社ドクターエージェントでは、横浜・神奈川を中心に医療機関の運営や開業などに携わる中で、多くの求人・採用に関する相談にも接しています。
今回の求人広告トラブルは、
当社自身が実際に経験した問題です。
そして、その後クライアントでも別会社から類似した問題が起きました。
この記事を公開する最大の目的は、
同じような経験をする医療機関を少しでも減らすことです。
よくある質問
Q. ハローワーク掲載後に求人広告会社から電話が来ることはありますか?
あります。
ハローワーク自身も、求人を公開した事業者へ求人広告サイト運営事業者等から電話がかかってくる事例について注意喚起しています。
Q. 「無料」と言われた求人広告から後日料金を請求されることがありますか?
実際にそのような事案が報告されています。
ハローワークは、無料掲載期間経過後に自動的に有料掲載へ移行し、多額の広告料金を請求されるケースを公表しています。
Q. 設立1年以内の求人広告会社は危険ですか?
設立年数だけで危険と判断することはできません。
ただし、突然営業してきた会社について、法人番号、所在地、設立時期、事業実績などを確認することは重要です。
Q. 請求書が来たら支払わなければいけませんか?
契約内容によります。
請求書だけで判断せず、申込書・利用規約・営業時の説明内容などを確認してください。
Q. 高額請求された場合はどこへ相談すればいいですか?
ハローワークも弁護士等の専門家への相談を案内しています。
最後に
医療機関は慢性的に人材を必要とする業種です。
だからこそ求人に関する営業も多くなります。
「無料なら、とりあえず掲載してもいいか」
この小さな判断が、後のトラブルにつながることがあります。
当社自身の経験からも、
求人広告は「無料」という言葉ではなく、契約内容で判断する
ことを強くおすすめします。
そして、会社名が違うから安心とも限りません。
求人広告営業については、「誰から来たか」だけではなく、
「どのような方法で契約を求めてきたか」を見ることが重要です。






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